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心筋梗塞のおくすり
心筋梗塞とは

心臓の血管(冠動脈)が閉塞、または狭窄することにより、その先の心臓の筋肉に酸素や栄養が行き渡らず、壊死してしまった状態をいいます。壊死した筋肉は収縮する力がないため、心臓の働きが悪くなります。
閉塞した冠動脈の血流を一刻も早く回復させることが重要で、内科的治療として、カテーテルを用いて狭くなった冠動脈を拡げる方法があります。 詳しくはコチラ
心筋梗塞治療後の患者さまには、血液をサラサラにするお薬やコレステロールを下げるお薬、心臓の負担を減らすお薬などを内服していただきます。
この他にも、血管を拡げるお薬や利尿薬などが用いられる場合もあります。

おくすりの種類

血液をサラサラにするお薬

ステント留置治療を受けられた患者さまの場合、ステント部位に血のかたまりができて血管が再び狭くなるのを予防する目的で内服します。
2種類のおくすりを併用する場合も多くありますが、服用期間については医師の指示に従って下さい。

コレステロールを下げるお薬

血液中の脂肪の量(コレステロール)が多くなると、血が固まりやすくなり、血管が詰まったり狭くなることにつながります。お薬だけに頼らず、食事や運動などの生活習慣の改善にも努めましょう。

脂質異常症の診断基準(空腹時採血)

 ・悪玉コレステロール(LDLコレステロール)-----140mg/dL以上
 ・善玉コレステロール(HDLコレステロール)-----40mg/dL未満
 ・中性脂肪(トリグリセライド)-------150mg/dL以上

上記のいずれかに当てはまると脂質異常症と診断されます。
※心筋梗塞の患者さまでは、血管の再狭窄を予防するために、脂質異常症の治療目標が上記より低くなっています。(LDLコレステロール100mg/dL未満)

(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版より)

心臓の負担を減らすお薬

壊死した心筋は収縮する力がないため、心臓の働きが悪くなります。
血管を拡げたり働きを少し休めることにより、心臓にかかる負担を減らします。

おくすりの種類 代表的なおくすり(商品名) くすりの働き
*基本的な注意事項
主な副作用
血液をサラサラにするお薬 抗血小板薬 バイアスピリン
パナルジン
プラビックス
エフィエント
血管に血のかたまり(血栓)が出来るのを予防する。
ステント留置後は2種類の抗血小板薬を服用することが多い。
胃・腹部不快感
鼻血
内出血 など
コレステロールを下げるお薬 スタチン
(HMG-CoA還元酵素阻害剤)
クレストール
メバロチン
リバロ
リピトール
ローコール
コレステロール合成酵素であるHMG-CoA還元酵素を阻害することにより、血中のコレステロールを低下させる。 倦怠感
筋肉痛
脱力感
腹部不快感
嘔気
発疹 など
フィブラート系 ベザトール
リピディル
中性脂肪が作られるのを抑制する。 倦怠感
筋肉痛
脱力感
腹部不快感
嘔気
発疹 など
小腸コレステロール
トランスポーター
阻害剤
ゼチーア 小腸でのコレステロールの吸収を阻害する。 腹部不快感 など
多価不飽和脂肪酸 エパデール
ロトリガ
血をさらさらにしたり、コレステロールを低下させる。
また、脂質のバランスを改善する。
*食直後にかまずに服用すること。
出血傾向
発疹
腹部不快感
悪心 など
心臓の負担を減らすお薬 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬 タナトリル
レニベース
血圧や心臓、腎臓に関係するアンジオテンシンというホルモンを減らすことにより血管を拡げ、心臓にかかる負担を軽減する。
リモデリング(※)を防ぐ効果もあり。
咳(投与1週間~数ヶ月以内で出現するが、中止により速やかに消失)
めまい、頭痛など
アンジオテンシンⅡ
受容体拮抗薬
アジルバ
アバプロ
オルメテック
ディオバン
ニューロタン
ブロプレス
ミカルディス
アンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを妨げることにより血管を拡げ、心臓にかかる負担を軽減する。
リモデリング(※)を防ぐ効果もあり。
めまい
頭痛
腎機能低下 など
β(ベータ)遮断薬 メインテート 主に心臓への交感神経の作用を抑えて働きを少し休めることにより、心臓にかかる負担を軽減する。 めまい
ふらつき
頭痛 など
αβ(アルファベータ)遮断薬 アーチスト 主に心臓への交感神経の作用を抑えて働きを少し休めることにより、心臓にかかる負担を軽減する。 めまい
ふらつき
頭痛 など

※リモデリング
心臓の壊れてしまった部分の機能を補うために、残った正常な心筋が増殖し心臓が大きくなり、さらに心臓の機能を低下させてしまうこと

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