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ハイブリッド手術室

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“ハイブリッド”とは

最近のエコブームの傍ら“ハイブリッド”、という言葉をよく耳にします。ハイブリッドカーによる省エネ、排気ガス減少など言うようにこの言葉がテレビでも良く使われるようになりました。
そもそも“ハイブリッド”とは「異なる2つのものを組み合わせたもの」という意味です。エコカーにおいてはガソリンと電気を組み合わせて駆動するということでハイブリッドという言葉を使っています。
では、手術室におけるハイブリッドとはどういうことでしょうか?

ハイブリッド手術室とは

ハイブリッド手術室とは通常の手術室と血管造影室という2つの異なる治療室を一つにした手術室です。身体を大きく切らないで穿刺しカテーテルという細い管を血管内に挿入し治療を行う血管内治療(いわゆるカテーテル治療)を行う際、X線装置により体内を透視しながら行います。カテーテルのみの治療であれば血管造影室にて治療可能ですが、カテーテル挿入の際穿刺では困難な血管からのアプローチが必要となった場合、皮膚を切開し血管を露出する必要があります。また、ステントグラフトのように挿入するカテーテルが非常に太い場合、やはり皮膚切開し太い血管を露出する必要が出てきます。これらの手技は外科的手術となり従来の血管造影室では施行が困難でした。また血管造影室は手術を行うには清潔度が不十分のため、外科医の最も恐れる感染症の危険が常にまとわりついていました。

メリット

ハイブリッド手術室はこのような外科と内科が一緒に治療を行う際、非常に安全、かつ安心して治療の行える手術室です。手術室であるため清潔度も保たれています。また、患者様の病状により一部は手術、一部はカテーテル治療が必要な症例も散見されますが、そのような治療を従来であれば2回に分けて行っていたものを同時に1回で行うことができるのもハイブリッド手術室の強みです。

もちろん、ハイブリッド手術室は“手術室”であり、通常の造影を必要としない手術も行うことができますし、当然全身麻酔の可能な設備も整っています。カテーテルのみの治療では困難であった場合、そのまま外科的処置を追加施行することでより安全、確実な治療を行うことができ、必要に応じて全身麻酔を施すことも全く問題ありません。

今後の活用方法

近年の心臓血管領域における治療法の進歩に合わせて、内科、外科というくくりを超えて両者が力を合わせてより高度な治療を行うための部屋がハイブリッド手術室なのです。すなわち手術室と血管造影室のハイブリッド、というよりむしろ治療における内科と外科の“ハイブリッド”を行うための手術室であり、当院でもハイブリッド手術室を手に入れたことにより、より高度な治療を安全かつ確実に行えるようになりました。私たちはこれからのさらなる治療法の進歩に合わせてハイブリッド手術室がその治療を着実にかたちにしていくと考えています。

心臓血管外科 部長
上山 克史

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