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放射線部

核医学装置_1

核医学装置_2

Symbia Evo

核医学装置_2

D-SPECT Vista

核医学検査は全身の種々の臓器を対象にした検査があり、保険適応も広いのですが、一般の方にはなじみが薄い…という状況のようです。核医学検査はどのような検査で何が判るのか、脳と心臓の核医学(SPECT)検査について検査の概要・特徴や注意点などをご紹介します。(「核医学検査について」をご参照ください。)
核医学検査を受ける患者さまや検査を依頼される医師の皆さまに理解していただき、核医学検査を有効に利用していただければと思います。

2023年5月、心臓専用半導体ガンマカメラD-SPECTを導入しました。(「D-SPECT Vistaについて」をご参照ください。)核医学検査装置は2台体制となり、先生方のご依頼により迅速に対応できるようになりました。

2023年10月、既存SPECT装置Symbia Sを、Symbia Evoに更新いたしました。

当院では、核医学検査全般の他院さまからの検査依頼も承っております。
アイソトープ部直通電話(076-253-8085)にお電話下さい。

核医学検査について
核医学検査の原理と特徴
  • 核医学検査(核医学イメージング、シンチグラム)は、体内に投与された放射性医薬品(薬品に放射性同位元素[RI]を標識したもの)が放出する放射線をシンチカメラで体外から測定し、体内での分布を画像化する検査(RIトレーサー法という)です。
  • CTやMRIと異なり臓器の機能を表す画像が得られる特徴があります。脳や心臓では回転型シンチカメラで体の周囲の各方向からデータを収集しコンピュータで断層像として作成するものが一般的で、SPECT(単光子断層法)といいます。
  • 使用する放射性医薬品は、検査目的により異なります。静脈注射で投与しますが、投与後の撮像開始までの時間は、検査の種類や使用する放射性医薬品によって異なります。
脳血流SPECT
  • 脳内の血流分布を断層画像として見る検査です。脳血流分布に応じて脳内に集積するECDやHMPAO、IMPなどの放射性医薬品を用います。静脈注射直後からのデータで脳血流量(脳組織100g当りの血流量としてml/min/100gで表す)が定量できます。その後、血流分布の断層画像を撮像します。検査の注意点は特になく、所要時間は40分程度です。
  • CTやMRIと異なり血流の状態が画像化されるため脳血管障害の早期に診断が可能です。脳血管を拡張するダイアモックスを使用した負荷検査で脳血流の予備能(負荷前に比べて脳血流が増加可能な量)が評価でき、治療法を決めるための有用な情報となります。
  • 最近では、統計画像解析法(eZIS、3DSSPなど)により、正常の血流と比べてどの程度低下しているかを定量画像として作成する方法が行われています。eZISはアルツハイマー型認知症やその他の認知症の早期診断・鑑別に利用されるようになってきています。

脳血流SPECT(上2段)とeZIS(下2段)
前頭葉から側頭葉の血流低下がeZISではより明瞭に示されています。
(色の赤い部分ほど正常人の脳血流より低いことを表しています)

心筋血流SPECT
  • 心筋血流分布を断層画像として見る検査です。TFやMIBI、Tlなどの放射性医薬品を用います。血管造影やCT検査では評価できない心筋細胞レベルの血流分布が評価でき、虚血性心疾患では必須の画像検査です。静脈注射された放射性医薬品は心筋血流に比例して心筋に集まり心筋虚血の範囲が画像化できます。運動または薬剤負荷を行うことで心筋虚血の正確な診断ができ、PCIやCABGなどの積極的な治療の必要性を判断する情報となります。負荷検査で全く正常であれば予後良好と判断できるとされています。
  • 検査の注意事項として、負荷検査では食事が心筋血流に影響を及ぼすため検査前2時間の食事は禁止です。静脈注射から撮像開始までの時間は、TFやMIBIでは約40分、Tlでは約5分です。負荷検査では負荷像の撮像終了後に再度放射性医薬品を静注して安静時の撮像をするため、全体の検査所要時間は2時間程度となります。
  • 心筋SPECTでは心臓の短軸増(輪切り像)とこれに直交する水平・垂直長軸像の3つを作成しますが、全体を1つの画像で見るためにブルズアイ(Bull’s eye)像を作成するのが一般的です。

心筋血流SPECT画像
左:運動負荷時 右:安静時 上:ブルズアイ 中:3次元 下:短軸・長軸
SPECT像は心臓を断面で見たものです。安静時に正常の部位は負荷で虚血[青色]になっています。

心筋脂肪酸代謝SPECT
  • 心筋は生涯動き続けますが、そのエネルギー源は主に脂肪酸を利用しています。このエネルギー代謝を脂肪酸の一種であるBMIPPを用いて画像として見る検査です。
  • 血流が低下した心筋虚血では脂肪酸に代わってブドウ糖などが利用されるようになります。脂肪酸代謝SPECTではしばしば血流の低下よりも高度な異常が見られ血流と代謝のバランスが変化していることを知ることができます。また、脂肪酸代謝は血流が回復してもしばらくは低下したままのことがあり、症状のない時期でも虚血が診断できる特徴があり冠攣縮性狭心症の診断に有用です。
  • 検査の注意事項として、血流検査と同様に検査前2時間の食事は禁止としています。静脈注射後20分以後から撮像します。所要時間は全体で30分程度です。

左:心筋血流 右:脂肪酸代謝のブルズアイ表示
心筋血流と脂肪酸代謝の対比。
血流に比べて代謝が低下している部位[青色]が明瞭に示されています。

心筋交感神経SPECT
  • 心臓には交感神経が豊富に分布しており、色々な疾患で分布や機能が変化します。交感神経の分布や機能をノルアドレナリンとよく似たMIBGを用いて画像として見る検査です。
  • 心臓交感神経は虚血の早期から障害され、虚血を鋭敏に検出できるとされています。心不全では心臓への集積程度を定量的な指標で測定して予後の評価に利用されています。早期像と後期像での集積の変化から心臓交感神経の活動性を評価することができます。心疾患以外では、パーキンソン病とパーキンソン症候群の鑑別に利用されています。また、褐色細胞腫などの副腎髄質腫瘍の診断にも用いられます。
  • 検査の注意事項として、MIBG集積に影響を及ぼす薬剤(3環系抗うつ剤、レセルピンなど)の使用は中止する必要があります。静脈注射後20分以後から1回目(早期像)の撮像をし、4時間後に2回目(後期像)の撮像をします。所要時間は全体で4.5時間程度となります。

当院のSPECT装置シーメンス社製Symbia S(2012年導入)は、当院核医学検査の8割を占める心筋血流SPECT検査に特化した「IQ・SPECT」という機能を持ちます。
「IQ・SPECT」は、従来約20分間を要していた撮像時間を、1/4の約5分間に短縮することを可能にしました。
これによりまして、患者さまの身体的負担軽減に大きく寄与できるものと考えております。

当院では、核医学検査全般の他院さまからの検査依頼も承っております。
アイソトープ部直通電話(076-253-8085)にお電話下さい。

核医学検査Q&A なぜ核医学検査を受けるの?

日本核医学会・日本アイソトープ協会が核医学検査のQ&A集を発行しています。
PDFファイル形式でダウンロードすることも可能です。

HPで見るQ&A集はこちら
直接ダウンロードはこちら

D-SPECT Vistaについて

最先端の技術で診断を革新する!
2023年5月D-SPECT VISTA(ディースペクト ビスタ)導入!

この度、当院ではSPECTRUM DYNAMICS MEDICAL社製フルデジタル心臓用半導体ガンマカメラシステム「D-SPECT VISTA(ディースペクト ビスタ)」を導入致しました。

この装置は検出器にCZT半導体を用い、従来のヨウ化ナトリウム検出器と比較し、高感度・高空間分解能・高エネルギー分解能が特徴で、短時間・低被ばくで高精細な画像を提供できます。また、坐位(座った姿勢)で検査できることも利点のひとつです。

「D-SPECT」としては国内20施設目の導入となります。また、AI技術による減弱補正「TruCorr」を国内初搭載しました。

D-SPECT

  • 患者さまの快適な姿勢で検査ができます。
    座った姿勢でも、寝た状態でも検査できます。
  • 短時間で撮影できます。
    半導体カメラの高い感度で、従来20分程かかっていた検査が10分以下に短縮できます。
  • 被ばく量を低減できます。
    導体カメラの高い感度で、検査によっては被ばく量を30%低減できます。
  • 鮮明な画像が得られます。
    半導体カメラの分解能の高さで、高精細・高コントラストの画像が得られます。
  • 検査の選択肢が広がります。
    従来不可能であった、99mTc/123Iの同時収集が可能です。
  • AI減弱補正「TruCorr」を搭載しています。
    別途CT撮影をすることなく減弱補正が可能です(検査時間の短縮・被ばく低減につながります。)
D-SPECT

D-SPECT Vistaシステム外観

D-SPECT

患者さまの快適な姿勢で検査ができます。
従来必要であった両腕の挙上の必要もありません。

SPECT画像

同一症例のSPECT画像です。
D-SPECT画像(下段)は、従来のSPECT画像(上段)に比べ、負荷時の血流低下部位(赤矢印)を、より鮮明に捉えています。

D-SPECT
従来のSPECT画像

D-SPECT
D-SPECT画像

D-SPECT
D-SPECTとCTの融合画像

AI減弱補正『TurCorr』

TurCorrは、ディープラーニングを利用した減弱補正法です。従来の減弱補正法のようにCTによる追加撮影が不要で、時間短縮、被ばく低減につながります。

D-SPECT

D-SPECT(減弱補正なし)

D-SPECT

D-SPECT(減弱補正あり)

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ハイブリッド手術室