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糖尿病のおくすり
糖尿病とは

「インスリンの作用不足」で起きる生活習慣病です。
2型糖尿病は「インスリン」というホルモン量が不足したり、働きが悪くなることにより、血液中のブドウ糖(血糖値)が正常より多くなる病気です。

*インスリンとは…
 血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などへ取り込み、血糖値を下げる働きをもつ唯一のホルモン

糖尿病の原因

2型糖尿病の発症にはさまざまな原因があります。
インスリンの分泌が少ないなどの糖尿病になりやすい体質に、食べ過ぎや運動不足による肥満、ストレスなどが重なった結果、糖尿病が引き起こされます。

糖尿病の合併症

糖尿病の合併症は全身の血管に起こります。
血糖値が高い状態が続くと、神経や眼や腎臓などにさまざまな障害が起こります。
また、心筋梗塞や脳梗塞など、直接命にかかわるような疾患につながる動脈硬化を引き起こします。
最近では、認知症も糖尿病の合併症であることが知られてきています。

「HbA1c 7%未満」が合併症予防のための目安です。
血糖値が高くなるとブドウ糖が赤血球中のヘモグロビンと結合します。
これがHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)と呼ばれるもので、血糖値が高いほど値が大きくなります。
この値で、過去1~2か月の血糖コントロールの状態を知ることが出来ます。

出典:糖尿病治療ガイド 2016-2017

おくすりの種類

①経口血糖降下剤

◇食事・運動療法を行っても十分な血糖管理が得られない場合に薬物療法を合わせて行います。
◇お薬だけに頼らず、食事・運動療法の継続が必要です!

おくすりの種類 代表的なおくすり(商品名) くすりの働き
*基本的な注意事項
主な副作用
インスリンの抵抗性改善 ビグアナイド薬 メトグルコ 肝臓で糖が作られるのを防ぐ
*造影剤使用時は休薬が必要
吐き気
下痢
便秘
チアゾリジン薬 アクトス 筋肉や肝臓での糖の利用を高める むくみ
体重増加
インスリンの分泌を促進 スルホニル尿素薬
(SU薬)
アマリール すい臓を刺激してインスリンを分泌させる 低血糖
速攻型インスリン分泌促進薬
(グリニド薬)
シュアポスト すい臓を刺激してより速やかにインスリンを分泌させる
*食直前に服用
低血糖
DPP-4阻害薬 エクア
ジャヌビア
トラゼンタ
血糖値の上昇に応じてインスリンを分泌させる 低血糖
(SU剤と併用時)
GLP-1受容体作動薬 リベルサス
トルリシティ
血糖値に応じてすい臓からインスリンを分泌させる 食欲不振
便秘
低血糖
(SU剤と併用時)
糖の吸収と排泄を調節 α-グルコシダーゼ阻害薬 セイブル
ベイスン
炭水化物の消化吸収を遅らせる
*食直前に服用
*低血糖時は必ずブドウ糖を摂取
腹部膨満感
放屁の増加
下痢
SGLT2阻害薬 フォシーガ
ジャディアンス
腎臓での糖の再吸収を抑え、過剰な糖を尿と一緒に排泄させる
*こまめな水分摂取が大切
脱水
尿路・性器感染症

②インスリン

◇食事・運動療法に加え、経口血糖降下薬を使用しても、良好な血糖コントロールが得られない場合などにインスリン療法を行います。
◇不足しているインスリンを補い、正常なインスリン分泌に近づけます。

・インスリン分泌には、『基礎分泌』と『追加分泌』の2種類があります。
・基礎分泌は少量ずつ常に分泌されているインスリンです。
・追加分泌は食事の度に分泌されるインスリンです。
・糖尿病の人ではインスリンの分泌量が不足しています。

インスリン注射の種類 作用時間
超速攻型 アピドラ注ソロスター
ヒューマログ注ミリオペン

など

速攻型 ヒューマリンR注ミリオペン

など

混合型 ヒューマリン3/7注ミリオペン

など

中間型 ヒューマリンN注ミリオペン

など

持効型 ランタスXR注ソロスター

など

低血糖について

低血糖とは、血糖値が正常範囲以下まで下がった状態で、放置すれば昏睡(意識障害)に陥ることもある危険な状態です。
糖尿病治療中には、薬が効きすぎると低血糖になることがあるので対処法を知っておきましょう。

低血糖の症状

強い空腹感、動悸がする、めまい、目がちかちかする、手が震える、冷汗が出る

低血糖の対処方法

すみやかに糖分を摂りましょう!
 ・ブドウ糖(10g)を摂取する
 ・ブドウ糖がなければ、砂糖(20g)や糖分を含んだジュース(150-200 mL)を摂取
※注意:αグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、セイブル、グルコバイ、およびそのジェネリック医薬品)を内服中の場合は、砂糖を摂ってもすぐに効き目がでないため、必ずブドウ糖を服用して下さい。

自己判断で薬を中断せず、主治医に相談しましょう!

※車を運転する際の注意!!
・ブドウ糖を含む食品を車に常備する
・運転中に低血糖の気配を感じたら、ハザードランプを点滅させてただちに車を路肩に寄せて停止し、携帯しているブドウ糖を含む食品を速やかに摂取する
・空腹時には低血糖が起こりやすく、特に注意が必要
・低血糖を起こしやすい人は、運転前に血糖測定を行う、空腹時の運転を避ける、
 何か食べてから運転するよう習慣づける、などの工夫が必要

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