
近年の高齢化社会の進行に伴い、大動脈弁狭窄症の患者さまは増加しています。この疾病は症状が出現してくると数年で死に至る病気ですので、速やかな治療が必要となります。
当院は大きな総合病院とは異なり小回りの利く循環器専門病院であり、さらに急性期病床だけでなく療養型病床なども有しており、あらゆるステージの高齢者の方にも対応が可能なことを活かして多くの患者さまの治療が可能です。
こんな症状はありませんか?
大動脈弁狭窄症は、大動脈弁の開きが悪くなり、血液の流れが妨げられてしまう疾患です。聴診とエコー(体外から超音波で心臓を観察する方法)によって診断されますが、動悸や息切れ、疲れやすさなどの症状が徐々に進行するため、自覚しにくいのが現状です。胸痛や失神などの重い症状が出て初めて自覚したり、心不全と診断され入院後に判明する場合や、検診時の聴診で心雑音を指摘されて見つかることもあります。はじめは弁の病気ですが進行すると心臓全体の病気になり、弁を取り換えても回復しません。自然に治ることもないので、早期の診断と治療を行うことが非常に大切です。
2018年10月、当院は関連学会協議会よりTAVIの実施施設として認定され、2019年1月1例目のTAVIを実施しました。
現時点では石川県内で当院を含め2施設のみです。
TAVIとは?
TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術
TAVIはこれまでの外科的開胸手術によらず低侵襲に行え、患者さまの負担を減らす治療法です。このため、高齢であったり、他の病気のリスクを持っているなどの理由で、外科的開胸手術が困難とされる患者さまを対象に行われます。

鉛筆ほどの太さに折りたたまれた生体弁を装着したカテーテルを、太ももの付け根の1cm弱の小さな穴から大腿動脈にいれて、心臓まで運びます。

生体弁が大動脈弁の位置に到達したらバルーン(ふうせん)を膨らませ、生体弁を広げ、留置します。

生体弁を留置した後は、カテーテルを抜き取ります。
生体弁は留置された直後から、患者さまの新たな弁として機能します。
TAVI弁には、バルーン拡張型生体弁と自己拡張型生体弁の2種類があります
バルーン拡張型生体弁(Edwards Sapien3)
再生するには画面をクリックしてください
エドワーズライフサイエンス 提供
自己拡張型生体弁(Medtronic Evolut R/Pro)
再生するには画面をクリックしてください
日本メドトロニック株式会社 提供
自己拡張型生体弁(Abbott Navitor)
再生するには画面をクリックしてください
アボットメディカルジャパン合同会社 提供
ハートチーム体制
TAVIは、認定を受けた施設のみ可能な非常に高度な治療です。そのため専門的な知識、技術を有している循環器内科医、心臓外科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、放射線技師、生理検査技師などでハートチームを作り、安全な治療に取り組んでいます。

2024年6月現在、当院でTAVI治療された患者さんは既に300人を超えました。

当院累計症例数
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TAVIと心臓リハビリテーション
TAVI治療を受ける患者様の多くは、ご高齢で身体機能が低下しております。そのため当院では、弁の治療だけではなく、退院後の快適な社会生活を行えるよう現在10名の心臓リハビリテーション指導士が中心となり、入院直後より退院まで心臓リハビリテーションを行っています。
退院後、外来でも心臓リハビリテーション継続可能です。

気になることがありましたら、何なりとお気軽にご相談ください
※ TAVIイラストはエドワーズライフサイエンス株式会社さまよりご提供いただきました