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新着情報

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TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術 < Transcatheter Aortic Valve Implantation >)とは重度の大動脈弁狭窄症患者さまに対してカテーテルを使用して、開胸することなく、また心臓を止めることなく、新たな人工弁を植え込む新しい治療法です。

TAVIとは?
アプローチ_1

鉛筆ほどの太さに折りたたまれた生体弁を装着したカテーテルを、太ももの付け根の1cm弱の小さな穴から大腿動脈にいれて、心臓まで運びます。

アプローチ_2

生体弁が大動脈弁の位置に到達したらバルーン(ふうせん)を膨らませ、生体弁を広げ、留置します。

アプローチ_3

生体弁を留置した後は、カテーテルを抜き去ります。

アプローチ_4

生体弁は留置された直後から、患者さまの新たな弁として機能します。

65歳以上のAS割合

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2018年10月当院はTAVI実施施設の認定を受け、2019年1月1例目のTAVIを実施致しました。現時点では石川県内で当院を含めて2施設のみ認定です。低侵襲に加えて、人工心肺を使用しなくて済むことから、患者さまの体への負担が少なく、入院期間も短いことが特徴です。高齢で体力が低下している患者さまや他の疾患リスクを有する患者さまなどが対象となる治療法です。

大動脈弁狭窄の罹患率は65才以上で2~4%とされ、高齢化が急速に進む日本において重要な課題となっております。大動脈弁狭窄の症状が発現した後の予後が極めて悪く、狭心症が発現すると5年、失神が発現すると3年、心不全が発現すると2年といわれています。高齢などの理由で外科的治療が困難な患者さまに対し、この経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)が選択肢のひとつに加わり、さらに多くの患者さまを救えるようになりました。

日本の実臨床におけるTAVIの成績が第80回日本循環器学会学術集会(2016年3月)で発表されました。TAVIを受けた患者さまの30日の死亡率は2%であり、90歳以上の患者さまにおいては0.9%と良好でありました(OCEAN-TAVIレジストリー)。

当院は大きな総合病院とは異なり小回りの利く循環器専門病院であり、さらに急性期病床だけでなく療養型病床なども有しており、あらゆるステージの高齢者の方にも対応が可能なことを活かして多くの患者さまの治療が可能です。

対象となる患者さまがおられましたら、是非とも当院にご紹介、ご相談ください。

ASの予後

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ASの治療法

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※ TAVIイラストはエドワーズライフサイエンス株式会社さまよりご提供いただきました

当院累積症例数

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2023年1月現在、当院でTAVI治療された患者さんは既に200人を超えました。
TAVI適応は、無症候性の患者さんなどにも拡大しております。外科生体弁劣化に対する特殊なTAVI治療(TAV in SAV)も適応となり、当院でも治療可能です。

2023年5月よりTAVIに使用する最新世代の自己拡張型弁Navitorシステムを石川県内では当院のみで使用可能となりました。治療に選択の幅が出来ることで、より安全に治療できるようになりました。(2023年5月時点)


  • 循環器内科部長
    寺井 英伸

    TAVR指導医(SAPIENシリーズ)
    TAVR指導医(CoreValveシリーズ)
    TAVR指導医(Navitorシリーズ)
    日本心臓リハビリテーション学会評議員、心臓リハビリテーション指導士・認定医