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デバイス・不整脈外来

デバイス・不整脈外来のご案内

不整脈の治療法はこの20年くらいで大変進歩しました。
その中でも重要なものは、①カテーテルアブレーション、②植え込み型除細動器、両心室ペーシングなどのデバイスによる治療、の2つです。これらの施行には、特殊な知識、経験とノウハウの蓄積が必要なため、日本不整脈学会の“不整脈専門医”という資格があります。
当院におけるデバイス・不整脈外来の目的は、このような不整脈分野の専門的な診断および治療を行うことにあります。

*毎週火曜日:9:00~12:00、13:00~16:00

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心臓血管センター金沢循環器病院 不整脈外来のご案内

2014/3/2 文責 木村 竜介

心臓血管センター金沢循環器病院の不整脈外来を担当しております木村竜介です。2013年2月に当院に着任し、不整脈外来を開始致しました。

不整脈の治療法はこの20年くらいで大変進歩しました。その中でも重要なものは、①カテーテルアブレーション、②植え込み型除細動器、両心室ペーシングなどのデバイスによる治療、の2つです。これらの施行には、特殊な知識、経験とノウハウの蓄積が必要なため、日本不整脈学会の“不整脈専門医”という資格があります。当院における不整脈外来の目的は、このような不整脈分野の専門的な診断および治療を行うことにあります。

2013年2月から当院における不整脈の専門治療を開始し、カテーテルアブレーションをこの1年で約120件施行しております。他院での施行例も含めると、私自身のこの1年でのカテーテルアブレーション施行数は約160例になります。これまでの経験例は、術者、助手合わせて約1000例です。私の不整脈治療の経験は、主に東京女子医科大学病院と、大阪の桜橋渡辺病院で積んだものです。桜橋渡辺病院では2000年からカテーテルアブレーションを開始しましたが、現在岡山大学循環器内科教授になられた伊藤浩先生の指示下に私がカテーテルアブレーション治療を立ち上げました。また、不整脈治療のみならず、冠動脈インターベンション、心エコー、心臓集中治療、麻酔科についても、大阪大学医学部付属病院、市立豊中病院、大阪府立成人病センターなどにおいて経験を積みました。

ひとくちに不整脈といっても、実は大変幅広く、様々な不整脈があります。放置しておいてもいい不整脈もあれば、命にかかわる不整脈もあります。また、不整脈は心臓の疾患ですから、他の心臓の病気、例えば心筋梗塞、狭心症、弁膜症、先天性心疾患などと関連していることもあり、不整脈だけでなく心臓全体を見ることが大切です。さらに、貧血、発熱、甲状腺機能異常などのホルモン異常といった、全身疾患により不整脈が起こることもありますから、心臓だけでなく全身を見ることも大切です。
また、医学的には放置しておいていい不整脈であっても、患者さんご自身の症状が強い場合には、放置しておくわけにはいかず、治療が必要となります。 従って、幅広い視野で不整脈の診断、治療にあたる必要があると考えています。

カテーテルアブレーションとは、直径約2mm、長さ約1mのカテーテルと呼ばれる道具を心臓の中に挿入し、カテーテルの先端から不整脈の原因となる部分に高周波電流を流して焼灼することにより、不整脈を治療する方法です。
不整脈の中でも、カテーテルアブレーションによる治療が非常に有効なものがあります。これは発作性上室頻拍と呼ばれます。突然脈が速くなり、心拍数130から200/分程度になります。脈のリズムは規則正しく、突然始まり突然停止するのが特徴です。持続時間は数分程度のこともあれば1日以上持続することもあります。命の危険があることはほとんどないのですが、症状が強く、突然起こるため、日常生活に大きな影響を与えます。しかし、カテーテルアブレーションにより90%以上の方が治ります。
最近注目されているのが、心房細動です。これは、心臓の上半分、心房と呼ばれる部分がけいれんしてしまっている状態です。このため、脈のリズムが一定せずバラバラになります。これにより動悸や胸の違和感といった症状が現れる場合がありますが、最大の問題は心房のけいれんにより血液がよどむため、心臓の中に血栓(血の固まり)ができてしまう可能性があることです。この血栓が血流にのって脳に流れていくと脳卒中、脳梗塞(脳塞栓)になります。これは手足の麻痺や呂律が回らなくなったり、場合により命を失うこともある大変危険な病気です。脳卒中を起こす割合は年齢とともに右肩上がりで上昇しますから、高齢化社会を迎えた現在、心房細動をどう治療するかは大きな問題なのです。
心房細動に対してもカテーテルアブレーションは有効です。これまで薬物による治療がなされてきましたが、有効性はせいぜい3割といったところでした。カテーテルアブレーションの有効性は約7-8割と言われています。但し、心房細動は加齢性、進行性の疾患ですので、前記の発作性上室頻拍のような完全に治ってしまう(根治)というところまではいかないと考えるべきだと思います。しかし、心房細動をそのままにしておくと“クセ“がついてしまい、一生心房細動のままということになりますから、早いうちに治療を行った方がよいだろうと現在では考えられています。
心房細動があるからといって、全員がカテーテルアブレーションを受けなければならないというわけではありません。薬物で様子を見る場合もあります。カテーテルアブレーションを施行するかどうかは、患者さんご本人の症状、年齢、全身状態、心臓の状態などを考慮し、ご本人ご家族と相談の上で決定するべきことであると考えています。

非常に危険な、命に関わる不整脈があります。心室頻拍や心室細動と呼ばれる不整脈がそれです。突然死につながる可能性が高いため、大きな問題になります。これらについては、植え込み型除細動器という機器を体に植え込むことが大変有効な治療としてこの20年ほどで確立されてきました。植え込み型除細動器はペースメーカーよりはやや大型の機器で、ペースメーカーと同様に胸部に植え込むのが普通です。心臓の中に電線を留置して除細動器に接続し植え込みます。危険な不整脈が発生した場合は自動的に電気ショック治療がなされ、不整脈を停止させます。この治療は危険な不整脈に対して大変強力な効果を持っていますが、生活制限や運転の制限などを伴いますので、治療の内容を十分理解して受けて頂くことが大切です。

不整脈の治療とは少し意味合いが異なりますが、心臓の動きがとても悪い場合に、両心室ペーシングという治療を行うことによって、心臓の動きを改善できる場合があります。これはペースメーカーの植え込みとよく似ていますが、普通のペースメーカーは心臓の右側に電線を植え込むのに対し、心臓の左側にも電線を植え込むことにより、心臓を右側からと左側からと、両側から刺激する治療です。有効性は約7割と言われています。

こういった最新の不整脈治療を行うにあたっての専門的診断を行うのが不整脈外来です。また、不整脈の症状は様々であり、必ずしも“ドキドキする“”動悸がする“という症状ではないことが多いです。無症状ながら検診で異常を指摘された方も多いですし、胸が痛い、息が苦しいなど、ちょっと普通と違う症状が現れるケースもあります。不整脈だけでなく、他の病気が隠れていることもあります。ですので、胸部の違和感や痛み、気になることがあれば受診していただければと思います。不整脈のみならず心臓病全般にも対応いたします。

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